
BtoBのSEO対策は、比較検討期間が長く、複数の担当者が情報を集める企業間取引だからこそ、見込み客との接点を増やす手段として効果を発揮しやすい施策です。
とはいえ、アクセス数だけを追いかけると、ターゲットではない読者ばかりが集まり、肝心のリード獲得につながらないこともあります。まずは、BtoBならではのSEOの考え方を押さえておくことが大切です。
本記事では、BtoBとBtoCのSEOの違いやSEO対策が重要な理由を整理したうえで、成果につなげるための5つのステップ、リード獲得のポイント、注意点を解説します。
目次
BtoBとBtoCのSEO対策の違い
BtoBとは、Business to Business(ビジネス・トゥ・ビジネス)の略で、企業間の取引を指します。BtoBのSEO対策を考える前に、一般消費者向け(BtoC)との違いを確認しておきましょう。
| 項目 | BtoB | BtoC |
| 検索する人 | 企業の担当者(情報収集者と決裁者が異なることが多い) | 個人の消費者 |
| 検索ボリューム | 専門的なキーワードが多く、小さい傾向 | 大きいキーワードも多い |
| 検討期間 | 長い(比較・稟議を経て導入) | 短い場合が多い |
| 主なコンバージョン | 問い合わせ、資料ダウンロード、デモ申し込み | 購入、会員登録 |
BtoBのSEO対策では、検索ボリュームの大きさよりも「自社の商材を必要としている企業の担当者に届くか」が重要です。
アクセス数が少なくても、問い合わせや商談につながるキーワードを狙うという発想で取り組みましょう。
BtoBでSEO対策が重要な3つの理由

BtoBの購買プロセスとSEOは、相性のよい組み合わせだといえます。その主な理由を3つ紹介します。
(1)担当者がWeb上で情報を集めてから比較・検討するため
BtoBの商材を導入する際、企業担当者は課題の解決方法やサービスの比較情報を検索し、社内検討を進めることが一般的です。そのため、検索結果で自社コンテンツや商品を見つけてもらえれば、比較検討の候補に入りやすくなります。
自社の商材を知らない企業担当者とも、検索をきっかけに接点を持てる点が、BtoBでSEO対策を行う大きなメリットです。
(2)ニーズが顕在化する前の潜在層にもアプローチできるため
SEO対策では、すでに導入を検討している顕在層だけでなく、まだ課題がはっきりしていない潜在層にもアプローチできます。
例えば、業界のトレンドや課題の解決方法を解説するコラムで潜在層に自社を知ってもらうなど。記事内で商材の情報や導入事例を紹介しておけば、ニーズが顕在化した段階で問い合わせにつながることもあります。
(3)資産として長期的にリードを生み出すため
SEO対策は、効果が出るまでに時間がかかる施策です。一方で、上位表示されたコンテンツは、広告のように出稿を止めた時点で流入が途絶えることはなく、継続的に見込み客を集める資産になります。
業界内で役立つ情報を発信し続けられれば、「この分野ならこの会社」という認知が広がり、ゆくゆくは指名での問い合わせにもつながっていくでしょう。
BtoBのSEO対策を進める5つのステップ

ここからは、BtoBのSEO対策について、具体的な手順を紹介します。
(1)ターゲットとカスタマージャーニーを明確にする
最初に、自社のターゲットが「どの業種・規模の企業」の「どの部署の担当者」なのかを明確にします。そのうえで、カスタマージャーニーを描きましょう。
カスタマージャーニーとは、顧客が課題を認識してから、情報収集、比較・検討を経て、問い合わせや導入に至るまでの一連の流れのこと。BtoBでは、情報を集める担当者と、最終的に導入を判断する決裁者が異なるケースも多いため、それぞれが各段階でどんな情報を求めているかを洗い出しておくことが重要です。
この整理が、次のステップでキーワードを選ぶ際の判断基準になります。
(2)カスタマージャーニーに沿ってキーワードを選定する

次に、ターゲットが各段階で検索しそうなキーワードを選びます。例えば、勤怠管理システムを提供する企業であれば、次のように段階ごとにキーワードを分けて考えます。
- 課題認識の段階:「勤怠管理 課題」「残業時間 把握 方法」
- 情報収集の段階:「勤怠管理システム とは」「勤怠管理システム メリット」
- 比較・検討の段階:「勤怠管理システム 比較」「勤怠管理システム 導入事例」
あわせて、自社サービスを端的に表すキーワードをサイト全体のメインキーワードとし、そこに語句を組み合わせたキーワードを個別の記事やページで狙う構成にすると、サイトのテーマが伝わりやすくなります。
キーワード選定の具体的な手順やツールは、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
(3)検索ニーズに合わせてサイト構造とコンテンツを設計する
キーワードが決まったら、それに合わせてサイトの構造とコンテンツを設計します。
ポイントは、1ページにすべての情報を詰め込まず、サービスごとやテーマごとにコンテンツを分けることです。キーワードごとに専門的なページを用意すると、検索エンジンにもユーザーにも各ページの内容が伝わりやすくなります。
コンテンツの中身は、ターゲットの課題を解決する情報を軸に、自社商材の特徴や導入事例も組み合わせて構成しましょう。図解や動画を取り入れると、専門的な内容も理解しやすくなります。
また、ページ数が多いサイトや新しいサイトでは、XMLサイトマップを作成してGoogle Search Consoleから送信しておくと、Googleにページを見つけてもらいやすくなります。
参考:Google 検索セントラル「サイトマップの作成と送信」
(4)内部リンクで関連ページをつなぐ
内部リンクとは、同じサイト内のページ同士をつなぐリンクのことです。関連するページ同士をテーマごとにリンクでつなぐと、検索エンジンにサイトの構造やページ間の関係が伝わりやすくなります。
BtoBでは、課題解決のコラムから製品ページや導入事例、資料ダウンロードページへとリンクでつなぎ、読者が次の段階の情報へ自然に進めるようにしておくこと良いでしょう。
カスタマージャーニーに沿った導線を意識して、リンクを設置しましょう。
(5)リードや商談への貢献度で効果を測定し、改善する
施策を実施したら、定期的に効果測定し改善を繰り返します。BtoBのSEO対策では、アクセス数だけでなく、どのコンテンツが問い合わせや資料ダウンロード、商談につながったかまで確認することが重要です。
Google Search Consoleで検索順位やクリック数を、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで流入経路やコンバージョンを確認しましょう。成果につながっているコンテンツのテーマを広げ、成果が出ていないコンテンツはリライトするなど、数値をもとに次の施策を判断します。
BtoBのSEO対策を成功させる4つのポイント

手順に沿って進めるだけでなく、BtoBならではの視点を取り入れることで、成果につながりやすくなります。
(1)ロングテールキーワードで具体的な課題を持つ担当者を狙う
ロングテールキーワードとは、3語程度を組み合わせた、検索ボリュームが小さく具体的なキーワードのことです。競合が少ないため上位表示を狙いやすく、検索意図もはっきりしています。
例えば「営業管理 クラウド 導入事例」のように具体的なキーワードで検索する担当者は、すでに課題が明確で、導入に近い段階にいる可能性が高いといえます。検索ボリュームは小さくても、問い合わせにつながりやすいキーワードです。
(2)コンバージョンまでの導線を設計する
コンバージョン(CV)とは、Webサイト上でユーザーに達成してほしい成果のことです。BtoBにおいては、問い合わせや資料ダウンロード、デモ申し込み、セミナー参加などがCVポイントになります。
カスタマージャーニーの段階で、CVポイントも設計しておきましょう。
- 情報収集段階の読者:ノウハウ資料やホワイトペーパーのダウンロード
- 比較・検討段階の読者:導入事例集のダウンロード、デモ申し込み
- 導入直前の読者:問い合わせ、見積もり依頼
全てのコンテンツでいきなり問い合わせを求めるのではなく、読者の検討段階に合ったCVポイントを用意することで、取りこぼしを減らせます。
(3)経験・専門性・権威性・信頼性(E-E-A-T)を示す
E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取った概念です。Googleは、E-E-A-T自体はランキングに直接影響する要因ではないとしていますが、ユーザーにとって有用で信頼できるコンテンツを考えるうえでの指針となります。
BtoBの担当者は、導入の失敗が許されない立場にあることも多く、情報の信頼性を重視します。次のような情報をコンテンツ内で紹介し、「この会社なら安心して相談できる」と感じてもらいましょう。
- 導入事例や顧客の声
- 自社の実績や保有資格、業界団体への加盟
- 専門家による監修や執筆者のプロフィール
- 自社で実施した調査データ
出典:Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」
(4)業界メディアなどから自然な被リンクを獲得する
被リンクとは、外部のサイトから自社サイトへ張られたリンクのことです。とくにBtoBでは、業界メディアや業界団体、取引先など、関連性の高いサイトから紹介されることが、サイトの信頼性を示す材料になります。
業界メディアへの寄稿や取材協力、独自調査レポートの公開などを通じて、他サイトから紹介されるきっかけをつくりましょう。
ただし、順位を上げる目的でリンクを大量購入する手法は、Googleのスパムに関するポリシーでリンクスパムとされています。リンクの数を増やすことよりも、紹介したくなる情報を発信することを優先しましょう。
出典:Google 検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」
BtoBのSEO対策でつまずきやすい注意点

BtoBのSEO対策では、とくに次の2点に注意しましょう。
(1)社内用語でキーワードを選ばない
BtoB企業でよくある失敗が、社内や業界内で使われている言葉をそのままキーワードにしてしまうことです。自社では当たり前の製品カテゴリ名や専門用語でも、顧客はより一般的な言葉で検索しているかもしれません。
営業担当者が商談で聞く顧客の言葉や、問い合わせフォームに書かれた相談内容を集めると、実際に検索されている言葉に近づけます。キーワードを決める前に、ツールで実際の検索ボリュームを確認しておきましょう。
(2)短期間で成果を判断しない
SEO対策は、施策の効果が検索結果に反映されるまでに時間がかかるものです。
1〜2ヵ月で成果が出ないからといって施策を止めてしまうと、それまでの取り組みが積み重なっていきません。社内で合意を得る段階で、中長期の取り組みであることと、途中で確認する指標を共有しておきましょう。
BtoBのSEO対策に関するよくある質問
最後に、BtoBのSEO対策についてよく寄せられる疑問をまとめました。取り組みを始める際の参考にしてみてください。
Q. 検索ボリュームが小さいキーワードでも狙う価値はありますか?
A.あります。BtoBでは、ターゲットとなる企業の数が限られるため、検索ボリュームが小さいキーワードが多くなりがちです。
アクセス数が少なくても、自社の商材を必要としている担当者が検索するキーワードであれば、問い合わせや商談につながる可能性は十分にあるでしょう。検索ボリュームだけでなく、成果への近さも基準にキーワードを選んでみてください。
Q. BtoBのSEO対策では、どのようなコンテンツを作ればよいですか?
A.ターゲットの課題を解決するノウハウ記事、サービスの比較・選び方の記事、導入事例の3つを軸にするのがおすすめです。
ノウハウ記事で潜在層との接点をつくり、比較記事で検討中の担当者に情報を届け、導入事例で導入後のイメージを具体的に伝える、という役割分担を意識すると、カスタマージャーニー全体をカバーしやすくなります。
Q. SEO対策は内製と外注のどちらがよいですか?
A.社内にどれだけのリソースとノウハウがあるかによって異なります。
自社の商材や業界に詳しい社員が記事を作れば、専門性の高いコンテンツを作りやすいのが内製のメリットです。一方、継続的に記事を制作する体制を社内だけで整えるのは負担が大きいため、外注やツールの活用を組み合わせる企業も少なくありません。
BtoBのSEO対策はターゲット起点で設計しよう
BtoBのSEO対策は、ターゲットとカスタマージャーニーを明確にしたうえで、各段階の担当者が検索するキーワードを選び、成果につながる導線まで設計することが基本です。効果が出るまでに時間はかかりますが、継続することで、見込み客を集め続ける資産になります。
とはいえ、専門性の高いBtoB向けの記事を、業務の合間に継続して制作し続けるのは簡単ではないでしょう。

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