校閲と校正の違いとは?役割とチェックポイントを実例付きで解説

校正と校閲の違いは、文章の誤りを修正する作業と内容の正確性を確認する作業という点です。似ているようで、実は異なる役割と視点を持っています。

この記事では、校正と校閲の違い、それぞれの作業内容とチェックポイント、そして文章の品質を向上させるためのコツを、実例を交えながら分かりやすく解説します。

校正と校閲の違いとは

校正とは、文章の誤字脱字や文法ミスを確認して修正する作業であり、校閲は、内容の正確性や事実関係を確認して一貫性と信頼性を確保する作業です。

校正とは?定義と役割

校正(こうせい)とは、主に文章の表記上の誤りを修正する作業です。具体的には、誤字脱字、文法的な誤り、句読点の使い方、表記の統一などをチェックし、修正箇所を指示します。

校正の役割は、文章を読みやすく、見た目にも整った状態にすることです。読者がスムーズに内容を理解できるよう、表面的なエラーを取り除くことが主な目的です。

校正を行うことで、文章の信頼性が高まり、読者にとって誤解のない明確な情報提供が可能となります。

校閲とは?定義と役割

校閲(こうえつ)とは、文章の内容の妥当性や正確性を検証する作業です。事実関係の確認、記述内容の矛盾点の指摘、固有名詞の正誤、差別的な表現や不適切な表現がないかなどをチェックします。

校閲の役割は、文章の信頼性を高め、読者に誤った情報や誤解を与えることを防ぐことです。内容の深部にまで踏み込み、情報の質を担保することが主な目的です。

校正と校閲の視点の違い

視点校正校閲
チェック対象文字・表記・形式内容・情報・論理
ゴール“読める”文章“信頼できる”文章
「表記ゆれ」「漢字ミス」「データの出典」「因果関係」

校正と校閲はどちらも文章の品質を向上させるための重要な工程ですが、それぞれの視点は異なります。校正は「どう書かれているか」という形式面に注目し、校閲は「何が書かれているか」という内容面に注目します。

具体例を見ていきましょう。

実際に校正・校閲した原稿例

ここでは、実際に校正と校閲が行われた原稿の例を示します。

原稿例(校正・校閲前)

『この会社は一流のメーカーです。まいにち特定の商品に集中して

精算活動をしています。平均的な生産量は1日あたり500個です。』

〈校正〉

校正では、まず誤字や脱字、文法ミスをチェックします。具体的な指摘例として、以下が挙げられます。

  • 「まいにち」→「毎日」に修正
  • 「精算活動」→「生産活動」に修正

〈校閲〉

校閲では、事実関係や内容の矛盾をチェックします。今回の例では、以下を確認します。

  • 「一流のメーカー」であること
  • 「平均的な生産量」が事実かどうか
  • 「特定の商品」について、補足できないか

原稿例(校正・校閲後)

『この会社は国内でも名高い電子機器メーカーです。毎日、特定のスマートフォンの生産に集中し、平均的な生産量は1日あたり500個です。』

このように、校正は表記のミスを、校閲は内容の正確性や妥当性を指摘し、記事の品質向上に役立てることができます。

校正の作業内容とチェックポイント

校正の具体的な作業内容とチェックポイントを詳しく見ていきましょう。

校正作業の流れ

一般的な校正作業は、以下の流れで進めます。

(1)原稿と校正刷りを用意

(2)誤字脱字や表記ゆれをチェック

(3)文法や日本語表現を確認

(4)修正箇所を記入し、再確認

校正作業のチェックポイント

特に確認すべき校正作業のチェックポイント​をみていきましょう。

誤字脱字チェック

誤字脱字チェックは、校正作業の基本であり、最も重要なポイントの一つです。

例えば、「会社」を「がいしゃ」と書いてしまう誤りや、「誤字」を「誤じ」としてしまうケースがあります。このような基本的な誤りを防ぐために、文章を一字一字丁寧に読み進めることが求められます。

また、文章が長い場合は、音読してみると誤字脱字に気づきやすくなります。読み返しを複数回行うことで、見落としを防ぐことができます。

表記ゆれチェック

表記ゆれチェックは、文字や言葉の表記が一貫していない場合に行うチェックです。

例えば、「ホームページ」と「ウェブサイト」、同じ意味でも異なる表記が混在すると読者にとって分かりにくくなります。このような表記ゆれを防ぐためには、ガイドラインを作成し、それに基づいて表記を統一することが重要です。

特定の単語やフレーズだけでなく、日付や数字の表記方法も統一しておくと、文章全体の一貫性が保たれます。

文法と日本語チェック

文法と日本語チェックは、文章の正確性と自然さを確保するための重要なステップです。

例えば、日本語の助詞「は」と「が」の使い分けや、敬語の正しい使い方に気を付ける必要があります。また、複雑な文は簡潔に改めたり、読点を適切に挿入したりすることで、読みやすさが向上します。

文章をしっかりと見直し、読者にとって理解しやすい内容にすることが文法と日本語チェックの目標です。

印刷物の校正ポイント

印刷物を校正する場合は、やり直しが効かないため、特に注意して臨む必要があります。ここでは印刷物の校正方法をいくつか挙げます。

突き合わせ校正

突き合わせ校正とは、原稿とゲラ刷り(印刷物の試し刷り)を照らし合わせる校正手法です。この方法では、テキストの一言一句、記号、数字の一致を確認し、原稿通りに印刷されているかを厳密にチェックします。

また、文章だけでなく、図や表の内容、レイアウトなども原稿と一致しているかを確認します。

読み合わせ校正

読み合わせ校正は、二人以上の人が声に出して原稿を読み合う方法です。この手法は、音読することで誤字脱字や不自然な表現を発見しやすくするために使用されます。

特にスピーチや講演、重要な文書の校正に有効です。一方、視覚的な誤りを見落とす可能性があるので注意しましょう。

あおり校正

あおり校正とは、原稿と校正紙を重ね合わせてパタパタとあおり、どこに変更が加えられたかを視覚的に確認する手法です。

これは特に、ページごとに少ない変更箇所やイラスト部が修正された際に有効です。

校閲の作業内容とチェックポイント

次に、校閲の具体的な作業内容とチェックポイントを詳しく見ていきましょう。

校閲作業の流れ

一般的な校閲作業の流れは以下のとおりです。

(1)内容の理解:文章全体の趣旨や伝えたいメッセージを正確に把握

(2)事実確認(ファクトチェック):記述されている情報(固有名詞、数値、日付、歴史的事実など)が正確であるか、信頼できる情報源を元に確認

(3)論理構成の確認:主張と根拠の関係が明確か、論理に飛躍や矛盾がないかを確認

(4)表現の適切性確認:差別的・扇動的な表現、誤解を招く可能性のある表現、著作権や肖像権を侵害する可能性のある表現などがないかを確認

(5)修正提案:問題点が見つかった場合、具体的な修正案や改善案を提示

校閲作業のチェックポイント

校閲作業のチェックポイントは多岐にわたります。具体的にチェックすべきポイントをいくつか挙げます。

固有名詞の正誤

固有名詞の正誤とは、特定の人名、地名、商品名、組織名などが正確に記載されているかを確認する作業です。例えば、有名な人物の名前が誤って記載されていると、その文章全体の信用が損なわれる可能性があります。

固有名詞の正確性を確認するためには、信頼できるソースを参照し、複数の資料を照合しましょう。

数字や単位

数字や単位の正確さは、特に技術的な内容や報告書、研究論文などにおいて非常に重要です。

数値の誤りは、読者に誤解を与え、場合によっては重大な結果を引き起こす可能性があります。例えば、売上高や成長率の数値が間違っていると、その分析結果や提案が無意味になります。

そのため、元のデータや計算方法を確認し、数値が正確かつ一貫していることを確認しましょう。また、メートルやキログラムなどの単位が文中で統一されているかもチェックの対象です。

内容の矛盾

内容の矛盾は読者に混乱を招きます。例えば、文章の前半で述べたことが後半で否定されていたり、同じ内容について異なる数字が使われていたりする場合があります。

こういった矛盾を見逃さずに修正する必要があります。

差別的な表現の有無

差別的な表現は、読者に不快感を与えたり、社会的な問題を引き起こしたりする可能性があります。性別、人種、年齢、障がいなどに関する不適切な言葉づかいがないかを確認します。

常に現代の社会的背景を理解し、誤解を招く表現やステレオタイプを避け、全ての読者が心地よく読める内容にするために細心の注意を払うことが必要です。

因果関係

校閲作業の中では、因果関係の明確さも重要な確認ポイントです。文章内で提示される事実や意見が論理的に結びついているかをチェックします。

因果関係が曖昧だと、読者は文章の信頼性に疑念を抱くことになります。主張が論理的に一貫しているか、根拠となるデータや証拠が十分に提示されているかを細かく点検しましょう。

事実関係

事実関係が誤っていると、読者に誤解を与え、信頼性を損なう可能性があります。例えば、歴史的事件の年代や、重要なデータの数値など、確認すべき事実は多岐にわたります。引用や参考文献の情報が正確かどうかも重要なポイントです。

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校正・校閲の精度を上げるためのコツ

校正や校閲の精度を上げるための具体的なコツを紹介します。これらのコツを実践することで、文章の品質を高めることができますので、ぜひ参考にしてください。

(1)出力してチェックする

画面上では見逃しがちな誤りも、紙に出力して確認することで発見しやすくなります。特に長文の場合は有効です。

(2)第三者に見てもらう

自分が書いた文章をチェックする際、自身の思い込みや先入観によって誤りを見逃しがちです。第三者に校正・校閲を依頼することで、客観的な視点からのチェックが可能になります。

(3)時間を置いて見返す

文章を書いた直後ではなく、時間を置いてから校正・校閲することで、新鮮な目で見直すことができます。時間に余裕があれば、一晩置くことをおすすめします。

(4)チェックする項目を絞り込む

一度にすべてをチェックしようとすると、見落としが増えます。「まずは誤字脱字」「次に表記ゆれ」など、チェック項目を絞って複数回確認するとより効果的です。

(5)ツールを活用する

校正支援ツールや校閲ソフトを活用することで、効率的かつ精度の高いチェックが可能になります。ただし、ツールだけに頼らず、最終的には人の目でのチェックが重要です。

校正と校閲の重要性と意識すべきこと

ここまで記載したとおり、校正と校閲は、文章の品質と信頼性を高める上で極めて重要です。この章では、校正と校閲の担当者が意識すべきことを書いています。

読者の信頼を得るための正確な情報提供

誤字脱字が多い文章や、誤った情報が記載されているコンテンツは、読者に不信感を与えてしまいます。

読者は信頼できる情報源からのコンテンツを求めていますので、正確な情報提供を行うことに細心の注意を払いましょう。

読者が心地よく読めるように配慮する

表記の揺れや読みにくい文章は、読者のストレスとなり、離脱の原因になります。校正によって文章のリズムを整え、校閲によって論理的で分かりやすい内容にすることで、読者が心地よく情報を得られるように配慮することが大切です。

メディア全体の質を守り育てていること

一つ一つの記事の品質を高めることは、サイト全体の評価向上に繋がります。校正・校閲を徹底することで、ユーザーにとって価値のある情報を提供し続けることができ、結果として検索エンジンからの評価も高まる可能性があります。

校正と校閲の違いを理解し信頼性の高いコンテンツを提供しよう

この記事では、校正と校閲の違いを詳しく解説し、それぞれの役割やチェックポイントについてご紹介しました。校正と校閲はそれぞれ異なる視点から文章の品質を向上させる重要な作業です。両者の違いを理解し、適切に行うことで、信頼性の高いコンテンツを提供することができ、読者の信頼を得ることができます。また、コンテンツの品質が向上することで、サイト全体の評価も高まり、ユーザーの満足度も向上するでしょう。

ぜひ、この機会に校正と校閲のプロセスを見直し、より質の高いコンテンツ作成を目指してください。

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